世の中、「視野が狭い。」という例えがあります。でも、どうやら人間はもともと「視野が狭い。」のではないか?と思えることがあります。人は誰しも、描いている部分に集中すると、それ以外は見えなくなる。また自分が描きたいところばかり描いて、それ以外が案外いい加減になることも多い。

つまり、自分の関心のある「部分」しか認識出来ないということなのです。これはデッサン初心者でも、ベテランでも同じです。脳のメカニズム?どうも目には広く映像が映っているようでも、気に留めている範囲は意外と狭いということでしょうか。

ではベテランの方は、どうしているでしょうか?常に目を配って、バランスをとりながら描いていきます。「形」でも「明暗」でも周りと見比べることで、描いている部分がどうなっているか判断する、つまり「部分」と「全体」が常に関係していることを知って、意図的に操作を加えていくのです。このような見方が出来るかが、デッサン上達のための要の部分になります。どうやら人間は、意識的に見ようとして初めて全体を見ようとする、デッサンにはそのような訓練が含まれています。