百工房アートスペース(岡山市の絵画教室)

第21回アートゼミ

2017年11月25日、「日常」をテーマとする第二回になります。

前回、日常を成り立たせているー自分を考えるという内面的切り口でしたが、今回は巨匠の作品の胸を借りて「作品の中に現れている日常描写」を観察する外面的切り口になります。「魔女の宅急便」ポスター背景のパンの描写がリアルで美味しそうで、パン屋さんがそれ以降増えて来たという指摘が有ります。巨匠は単なるトレースではなく、自分の世界観を形作るために日常の細かいところまで色々なものを良く見ているし、良く知っている、そのような素晴らしい「背景」にあやかろうというのが今回の観点です。

作品というものは個人の内面から生まれるもの、自分の個性というものを大切にするものでは有りますが、それだけでは狭く閉じていくだけで、常に外面から影響を受けながらせめぎ合うものでも有ります。自分自身も生まれつきの素養も有り、影響を受けながら形作られているのと似た関係です。両者のバランスが大切で、振り子の両極のようなものです。

結果は上手くいきませんでした。皆さんはテーマにも作品の主題に沿わないで、自分の好みで背景を選びました。「例えば、モナリザをおばさんみたい、自分の好きな萌え絵と違うから見ない、という鑑賞方法はどう思う?」ということです。鑑賞の作法というような、自分のスタンスを持っていないことがわかりました。

結果を踏まえて気付いたことは、ネットが広げた世界は多いが、現実認識は狭くなっている点、自我が拡張した分、現実に対する作法と興味を失いつつある点でした。名画を知らない人も増えてきました。

しかし作り手は、常に、自分の日常から拾い上げて、作品に生かそうとするはずです。現実を見る「眼差し」が大切であり、それが逆に困難になりつつあるという、厳しい課題がはっきりしました。