作品とは感性の世界、その人の主観に乗っ取って表現する世界です。ですから世間には自己自愛の世界とか我儘気ままとか、誤解が横行しています。
しかしデッサンの世界はそれとは反対、主観を排して客観に向かいます。見えるまで時間が掛かった、それまで見ているつもりだったと、経験者は一応に言います。他を受け入れる、共感する意識が育てば、対象は見えてくるということなのでしょう。決して、技術で捻じ伏せるというものではありません。
どうしてデッサンが必要とされているかというと、作品が感性の世界だからこそ客観を持ち込むことでバランスを取る必要があるということでしょう。ですからデッサンをしっかり学んだ人は、自己の殻に閉じこもり偏った判断をすることは無いはずなんですね。世間の誤解とは裏腹に、きちんと基礎を持った作品制作者は、世間を客観的に見ているはずです。