デッサンオンデマンドの傑作を、掲載いたします。少しいけない感じのテーマです。デッサンオンデマンドには、このような自由制作の課題もあります。現実では難しいことも、マンガでは表現出来るものもありますので、そのようなクリエイティブを狙ったものです。オンラインの、往復書簡のような不自由な遣り取りの中、奇しくも成立した「作品」でもあります。
少女漫画に慣れ親しんだ作者としては、とても戸惑ったところもあったようですが、私の少し上の「会田誠」という作家のことも紹介し、現代美術と併せて、ご自身の間口を大きく広げて行こうとされたことは幸いでした。往年のボクシング・マンガ、最初はまともにボクシングしていましたが、次第に必殺技一発で決まってしまうようになったそのマンガの、技の決まった一コマのような、迫力に満ちた「作品」になりました。素晴らしい!!
-
これまでの過程も一気にお見せします。
〇〇年ぶりくらいに「週刊少年ジャンプ」を買い、模写をして楽しく練習されたそうです。
まずは作者なりに、「悪い奴」のイメージを作ってみました。
分かりやすい「悪い奴」イメージを、加えてみました。
「自分に足りないのはサービス精神」というご感想、頂戴しました。
色を施し、肉付けを行い、本体が出来たところです。
これから、どのように全体をまとめていくべきか?更なる試行錯誤が続きます。
「服より肌を目立たせる」ために、背景を黒くしました。パンチの効果線は、凄い!空気振動です。
背景の稲妻は、「勢いを付ける方向ではない。」と指摘しました。
肌の色を消し道具で抜いて、肌が目立つようになりました。
「効果線も貫くように、左に抜けていい。空気振動表現を無くすのは、惜しい。」と指摘しました。
「人に見て頂くのは大事なんですね…自分でわかればいいのですが。」というご感想、頂戴しました。
吹き荒れる嵐と稲妻、作者は新たな効果線を開発したのかもしれません。
この後、鼻水、鋲や爪、背景もさらにパワーアップして、投稿最初の画面に戻ります。
それぞれを活かし、それぞれの優先順位を付けて、全体を組み立てる、
テーマはマンガ・イラストですが、ここまでの試行錯誤は立派なデッサンの仕事になりました。
度重なる改良、ご苦労様でした。
他にも色々な文章を遣り取りしましたが、絵中心にして、文章についてはかなり省略しました。
その都度、作者の「遊び心」が加って、作品が良くなってきたことを強調しておきたいと思います。
少しいけない感じのテーマについて、捕捉します。当方は、少しいけなくても構わないという姿勢を取り、楽しく自由に創作すること、そういう作者を擁護します。倫理や道徳で表現に自粛を促す傾向は、作者の想像力や遊び心を押さえつけます(公序良俗とのバランスはあると思いますが)。倫理や道徳で自粛を促す方向は、クリエティブを痩せ細らせていきます。「ルパン三世」という傑作、悪くて、強くて、エロくて、優しい、そんな清濁併せ持つ、粋で魅力的なエンターテイメントは、この先誕生するでしょうか?鑑賞する側含め、クリエティブを取り巻く人々が、個人の自由を尊重し、善悪や正否の主張は有れども、個人の意思を抑圧しないことが必要だと思います。