はい、意味があります。絵が上手くなるために必要です。

これは感覚を鍛える練習です。目測で距離を測る、カーブや直線をコントロールする、効率のいい作業をする、明暗を見分ける、これらは全てデッサンで必要な判断力です。

PCの力で一瞬のうちに行われることを、手描きでは苦労して行います。結果は同じように見えても、その過程は全然違う。円の場合は、目測で距離を測って、カーブを何度も整えていかなければ描けません。正方形も、距離を当分に測り、真っ直ぐな線で直角に交差することを意識しなければなりません。ベタ面は、どうしても手描きだと塗りムラが出ますので、出来るだけムラの出ない塗り方と、出来たムラの濃淡を埋める必要が有ります。

例えば顔を描く場合は、頭蓋骨の縦横比、目の高さ、鼻の高さ、口の高さ、それぞれの幅、向きや遠近が、どのようになっているかをミリ単位で判断する、高度な作業が必要になります。そこに進むために、まず、真円や正方形、ベタ面の練習を行います。

真円や正確な四角を、効率よく描く方法があるのに、わざわざ手描きで不完全なものを描くのはどうしてか?そのような観点から疑問が出るのは、当然でしょう。求めている結果は、正確な円や四角を描くことでは無く、目で見て正確に測る感覚です。しかし感覚は、あなたの中にしか生まれないもので、外見からは分からない、経験しないと分からないことなのです。そのような、感覚を鍛える訓練が、絵の練習にはたくさんあります。