第二回となる教室内コンクール、テーマは「日常」です。

アートゼミでは「自分の日常」を考え、これまでの自分と今の自分を振り返りました。また巨匠の作品の胸を借りて、「作品の中に現れている日常描写」を観察するワークをしました。 今回のテーマは、「日常」をキーワードに、自分の作品の背景を深堀りする試みでした。 優秀作品を抜粋して、発表します。

月と鯉
月と鯉

 日本画でやや大作です。 満月と、たなびく草木と鯉。 まるで月の分身のような白い鯉が泳ぐ様は、見ながら杯を傾けられそうなほど、風流。 草木がたなびく様にそよぐ風が感じられること、下地の青が全体に清明さを醸し出していること、文句なしの一等賞でした。

肉食う女子
肉食う女子

学生の頃の思い出で、友達と放課後肉をむさぼったというコミカルな作品。 女の子でも肉食べたいよね~という本音の面白さに加えて、人物の表情が誇張され、強烈です。ネタ的にはかなりインパクトのあった、二等賞です。

夜明け
夜明け

自分のテーマとして、子供の頃夢想したイメージを膨らませています。彼が 漆喰という素材は使い始めてちょうど一年になりますが、今回はひび割れや絵の具の重ね方をかなり工夫しています。夜明けの虚空に浮かんでいるシュールなイメージから、静けさが沁みて来るようです。完成度の高いシリーズ作品となりそうな、二等賞。

かくれんぼ
かくれんぼ

子どもの頃遊んだ近くの神社から連想し、ファンタジーに仕上げました。森の奥深さに少し怖さも感じる、そういう記憶を持つ人は多いのではないでしょうか?しかし、ファンタジーというものはリアルな描写が必要で、自然の様を研究し想像で描くことには苦労しました。

絵を描く日常
絵を描く日常

振り返って見ると、ずっとマンガを描き続けて来た。そういう心情を素直に表した作品です。なんとかマンガ賞のポスターになりそう。これからも!という意思も感じます。テクニカルには、CG加工の後プリントアウトしたものに手描きを行っています。

以上、コンクール出品者の中からの抜粋でした。実力のある人が増えて来た印象です。「日常」をテーマにした理由は、素晴らしいものというものは、実は身の回りのふとしたところに転がっているのではないか?という視点を持ってもらえたらというものでした。見方が変化したら、ふとした日常が全く違って見えてくる、そのような瞬間を経験した人は多いと思います。壮大なもの→自分の出来ること、些細なもの→素晴らしいものという発想の転換を試みた、今回のコンクールでした。