こういう人種がいるのか?と思われるかも知れませんが、「天⇔人⇔地」という順番です。つまり、人間は天と地の間に生きているという意味です。昔の言葉ですので、もちろん信仰も含まれているでしょうが、人は分限や分別を持っていたのだろうなと思うのです。

私の博士課程2年目、榎倉康二先生が急逝されました。喪失感を埋めるためだったかもしれません、私は博士論文を書くことを決心し建築を勉強してやろうと思い、建築科卒業単位の半分以上を取りました。その時、論文の副査にもなっていただいた益子義弘先生に「天地人」を教えて頂きました。建築では、「天→屋根、人→柱、地→基礎」に例えられ、その土地の気候に合わせて、屋根勾配や瓦の質や地盤の作り方があるという話しでしたが、要は環境に合わせて人は生きてきたということです。

この頃作品にする資料として、世界の国旗を調べました。ざっと目を通して気付いたことは「太陽、月、星」、そして「横方向の境界線→空や大地や海」が多いことでした。もちろん国ごとに成り立ちや思想信条は違うのでしょうが、自分たちの暮らす環境に対しての「祈り」のようなものがある。安住できる環境なくして、国家の安寧はありませんから。

なぜこんなことを思い出したかというと、異常気象や地震や噴火が次々と起こり、大惨事になっている。残念ながら、紛争も多くなっているようです。「天⇔人⇔地」のバランスがおかしくなっているような気がします。