こちらのギャラリーでは、
デッサンオンデマンド https://dessin-on-demand.com/を受講されている方の傑作も掲載していきます。
この作品は、受講生である日歩(H.T)さんの作品です。最初にカリキュラムを制作する際、アメリカで旅した風景に触れていらっしゃいました。その時我々の方にも感動が伝わってきたのですが、それを描く課題として選んだものが、グラデーション課題でした。いわゆるグラデーションとは違い、地平線を挟んだ空と大地のダイナミックな風景を想定した課題で、簡単な風景を描くものと、想像も含めて複雑な風景を描くものと、2課題あります。
一枚目の作品は、簡単な風景では無いのですが、やはりその時の感動が筆を進めたのだと思います。雲から光が漏れ、道の先を照らしているところは、想像で付け加えています。ワクワクするような、良い作品になりました。土、草、雲と、タッチを使い分けていて、表現力が豊かです。彼は描くことが好きで、興が乗るとグイグイ描いていくタイプ。もう少し出来たら良かったこととしては、薄い鉛筆を層で重ねて、グラデーションの幅を出すことです。近くははっきり、遠くはぼやけるといった、空気遠近法を用いた奥行感が出せたら、更に素晴らしくなったでしょう。
次の作品は、グランドキャニオンの風景に、遺跡と鉄道を想像で付け加えています。アドバイスとしては、前回とほぼ同じですが、今回の方が緻密な描き込みが必要な画面です。前景、中景、遠景とグラデーションの明暗の幅を変えていくこと、手前の岩や木をもっと細かく描き、遠景の山や橋脚を薄くマットな仕上げに。ランドマークになる蒸気機関車をもっと目立たせるには、煙を出すとか、バックの岩の明暗を少し整理するとか、もう一工夫したいところ。課題としては終了になりましたが、実はここで終わるのは惜しいと思っています。緻密さを加えられると、直に良くなる作品です。