ヒメジョオン

デッサンオンデマンド受講者の方の、傑作です。大変苦労して出来上がった、労作でもあります。これだけの数の花を、一輪一輪丁寧に描いていきました。また背景は、ご自身の創意で「漆黒の闇、虚空」という、見た目とは違う表現に変えています。作者の言葉を借りると「宇宙空間にある星団(互に引き合うかたまり)のような浮遊感覚」を表したかったということです。

良い作品です。見るほどに、虚空に引き込まれそうになり、また手前の花へと引き戻されたり、目を楽しませてくれます。前後の奥行が、良く表現されているということです。また一輪一輪が変化に富み、見ていて飽きることが有りません。執拗ともいえる作者の粘り=花に対する愛情が、それを可能にしたのだと思います。これは、デッサンというより、作品といった方が良いでしょう。何処に出しても、大丈夫な作品に思えます。そして意外にも、プロがなかなか作ることの出来ない作品です。

すんなりと、ここまで来たわけではありません。紆余曲折、葛藤がありました。私も経験ありますが、これだけの数を繰り返し描くのは至難です。途中で、投げ出したくなります。ですから、最終的にここまで漕ぎ着けられた理由は、数々の葛藤を受け止めることだ出来た、作者の人間力だと思います。