デッサンオンデマンドを受講されている方の、傑作を掲載いたします。
石という、ストイックなモチーフにチャレンジされました。貴石などの特別な石ではなく、路傍の石です。凄味が出て来ました。少々、肉のような生きているような気配があります。サルバドール・ダリが描いた「パン」のような気配です。

作者は、散歩の途中で「出会った」ものについても、思索を深めています。作者の言葉を引きますと、「石の知る歴史」「これまでの長い旅、これからの行く先の海への長い旅を思って、石の強さや存在感を出したい。」とあります。描くことは、「対象物と私の往復書簡」とあります。感情が入ったコミュニケーションが出来たから、このような作品が出来上がったのだと思います。

また、「石の事を詳しく知りたく思い地質図で調べると、元々の岩は3億年ほど前に砂岩か泥岩として出来、2億年から1億5千年ほど前に花崗岩の熱に接触したため、非常に硬く緻密なホルンフェルスになったようでした。」とあります。やはり興味が出てくると、対象をもっと知りたくなってくるものです。また「 自然を思う時、人類に対して、自然を大切に、地球を汚さずに愛を以て接してほしい、などという考えはありますが、自分の絵でそんなことが伝わるだろうか、自分はどうなんだろうと思えます。」とも。

伝わってきます!石に対する、細やかな愛情を感じます。知っている人や経験をした人は、「自然」に対する説得力を持てるのだと思います。敏感で繊細にキャッチできる人は、実は若年層にも多くいて、ストレートで力強いことも、この頃のニュースで思い至ります。お金にならなくても、数値化出来なくても、このような感性を大切にし、育んでいっていただきたいと、切に思います。