デッサンオンデマンドの傑作を掲載いたします。落ち葉というモチーフには、そこはかとなく情感が漂います。薄く、軽く、意外と硬くカサカサした質感、これは表現するには案外難しいモチーフかも知れません。
作者は、やはりその質感を出すために苦労していました。最初からタッチを使っていこうとしていましたが、細密に描き込むとタッチが消えてしまう。再び、明るく抜いてタッチを付け直す、でもタッチがつぶれて無くなってしまう、そのようなことを2回ほど繰り返しました。
その後、作者は自主的に対策を練ります。タッチを学ぶために模写をし、鉛筆の種類を色々使って試したり、光沢・明暗をタッチで表わすにはどうすればいいか?実験を繰り返したとのことです。また、落ち葉を何枚も拾ってみて、一枚一枚大きさや、反り具合、虫の食われ方などが全て違うことに気付き、もっと細部まで目を行き届かせようと思ったそうです。
タッチというものは、受験技法のようにルーティーン化しているところもありますが、太さ、濃さ、長さを変えることも、更には消した痕跡も含まれ、多様な表現方法があります。更にそれらを重ねることでも、無限と言っていいほど表現の幅が出てきます。葉のカサカサした感じが描けたこと、これは作者が苦労して、指先の感覚で探り当てた成果と言えるでしょう。