百工房アートスペース内で昨年末、初めてのコンペティションを行いました。このコンペティションの伏線として、第14回アートゼミ、第15回アートゼミでも「美人」をテーマに取り上げ、皆様に徐々に準備をしていただきました。全員参加とは行きませんでしたが、年齢も20代から80代まで、趣味の人からプロまでの幅広く参加いただき、多くの作品が出揃いました。結果報告致します。

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のっけから「反美人画」ですが、美人にまつわる「男たちのバイアス」を逆手にとって、とてもインパクトのあるギャグ漫画を描き上げました。こういう視点は、とても大切です。そうプッシュしても、なかなか遠慮して(怒られると思い込んで)腰を上げませんでしたが。

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寡黙に練習ばかりしている方の、初めての作品です。「恥ずかしいから。」と言って、途中経過は見せてもらえませんでした。後日談で、資料を集めたりデッサンの必要性を感じたり、作品作りの苦労とやりがいを感じられたようです。

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引きこもりから立ち直った後の、第一作。背景の色面が、異彩を放っています。拙さはありますが、この作品は彼にとっての自信作です。これからも頑張って下さい。

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いわゆるアイドル写真の写しですが、入り口としては有りかな。肌の赤味の差し方に、繊細さを感じます。ですが、一切途中経過を見せてもらえませんでしたので、顔の描き方はせめてアドバイスしたかったな。

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モデルを探して写真を撮り、日本画材や和紙を揃え、気合が入っています。その分完成度が高い作品になりました。ただ、この材料を使うのは初めてでしたので、少々感覚がつかめないところもありました。続けて作品を作り、素材に慣れていきましょう。

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第2位の作品です。プロでありながらも、デッサン研鑽も怠らない、当スペースのトップランナー。半身ひねりという難しい角度を、上手くまとめ上げました。背景の色を、着物や髪の影に取り入れるなど、粋です。かなり完成度の高い作品と言えるでしょう。

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可愛らしい姉妹の姿、人気がありました。丹念に描かれた背景にも、人柄がにじみます。やはり夏休みのご自身の思い出なのでしょうか、深い情感をたたえています。これも完成度の高い作品と言えるでしょう。

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最年長の方の、初人物作品。かなり出品を遠慮されていましたが、強力にプッシュしました。お孫さんに対する、深い情愛が感じられます。私もですが、人に比べてどうのこうの、ではなく、個人の精神世界を大切にして行きたいものです。

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第3位の作品です。彼もプロなのですが、最近デッサンの重要性に気付いてまい進中。やや人体の形に甘さが残りますが、全体に上品な色価を持つ作品。配色や全体のまとめ方など、生来持つバランス感を感じます。

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第1位の作品です。彼は「食べるための仕事」を通して、漆喰に出会いました。そのため、額から漆喰下地まで工夫を凝らし、下書きを念入りに転写するという、気合の入れよう。職人として技術が、絵の完成度を格段に引き上げました。画家としての、転機になりそうです。

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元ネタは、弥勒菩薩半跏思惟像です。でも、とても色っぽい女性です。艶やかな姿と、思慮深い雰囲気とのギャップは、多くの男性の賛同を得ることでしょう。でもそれを描き切るには、もう少しデッサン力が不足しています。デッサン頑張りましょう。

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器用ではないのですが、努力を惜しまない不屈のタイプ。かなり複雑な設定だったので、肝心の美人を描く時間が足りなくなるほど、まとめるのに苦労しました。背景に青い森を配したことで、幻想性が強調され、一気に完成度が高くなりました。アイデアの重要性を痛感した、一枚になったと思います。

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昔美人でもいいじゃないか?いえいえ、いい年の取り方をした方は美しい。ご自身の祖母で、ご高齢なので生きている内に描いておきたいというお気持ち、よく解ります。丁寧な描き込みに、愛情を感じます。

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夕食の準備をしながら、3時間で描き上げた作品。時間の短さはやはり否めませんが、それでも作品を描きたいのだ!という意思が感じられます。仕事、子育てと人生いろいろありますが、結局人生にとって絵は何か?ということが肝心。粘り強く、継続していただきたいと思います。

以上が作品一覧です。みんなバラバラです。これだけ個性的な作品が出揃うということは、個性を大切する当教室の方針は、あながち間違っていなかったかな?と思っております。(ホームページでは、参加者の氏名は一応伏せさせていただきましが、当教室で配るカレンダーには氏名は掲載しました。)テーマを変えながら、当教室の毎年行事にしようと思います。皆さま、お疲れ様でした。引き続き頑張りましょう。