デッサンオンデマンドの傑作を掲載いたします。

なんだ、この可愛くない顔は!と、お思いの方は多いでしょうね。下の絵が、元のマンガです。それをリアルにしたものが、上の絵です。そう説明しても、なんでわざわざ可愛いものを可愛くなくするんだ!と怒られちゃうかも知れませんが、それが目的ですから仕方がありません。これらの課題は、通常のイメージを変えていくことで、どういう新しいものが生まれるか?という発想を試すものです。今回は、マンガの絵を、とことんリアルにしたらどうなるだろうか?というテーマで行っています。今回の課題は、マンガ表現について色々考えをめぐらす機会になりました。

作者は『デッサンの存在感、漫画の存在感、の違いというか、言葉がみつかりませんが、気になります。まだまだ気づいていなかったことがあるなあと思います。「ギャップ」というのはすごく大事かもしれないとわかりはじめました。ギャグマンガでも、いきなり劇画調になったりすると面白かったりするのを思い出しました。』とコメントしていらっしゃいます。
マンガで省略されていた部分が、逆にはっきり分かってきます。小鼻とか、鼻の孔とか、歯とか、骨の立体感とかです。目とか、髪とか、胸とかは、リアルなまま残す。特に目は、リアルにすると違和感があるぐらい大きく、更に強調されていることがわかります。デッサンとマンガは、これほど違う方法が取られているのです。
分析のための課題ではありません。試すとか、遊ぶとか、いたずら心みたいなものも、アートには大切だと思うのです。こういう発想の転換が、新しいもの、心躍るものを生み出す切っ掛けになると思います。こういうことを面白がるのを「粋(いき)」、不謹慎だと片づけてしまうのを「野暮(やぼ)」と言っていました。前に発言した人の意見を、そのまま全員が繰り返す「以下同文」さん、上手くいかなかったことを、あらゆる理由を外から探してきて覆そうとする「自己正当化」さん、おおらかに参りましょう。違っていることは変でも悪いことでも無く、むしろ違っている方が良いこともたくさんあります。違うことをみんなで押さえつけていこうとする「同調圧力」は、新しいもの、心躍るものを生み出すことにはならないと思いますね。

ちなみに、これは作者の「笑顔の可愛い女の子」のためのスケッチです。見事に、リアルマンガから少女マンガまで、いろいろなテイストを試しています。作る方は、試すとか、遊ぶとか、いたずら心であっても、真面目にエネルギーを使って努力します。だから、残っていくものには、迫力があるのだろうと思います。